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09年5月アバ州教育局 郝(ハオ)士昌局長との話し合い

今回、震源地の映秀鎮、多数の犠牲者が出た都江堰と回って、やはり倒壊した学校の校舎再建の支援をしなければと考えていた。その中でも理県の朴头(プトウ)小学校は学生宿舎も全壊し、残った校舎もすべて取り壊して、再度新しく建て直さなければならないということで、その支援を前向きに考えていた。

昨年現地を訪問した時、お目にかかった校長先生、理県教育局の方々もとても熱心で、こと細かく現状を説明してくれ、校舎一棟でもいいからと支援を要請された。会議に同席したアバ州教育局郝士昌局長もこの学校への支援を希望していた。

そこで、私達も具体的な予算を明記した再建計画書を送ってくださるようお願いした。けれども、昨年3月のチベット地域での衝突が影響したのか、今年2月下旬から4月上旬にかけて、電話、メール共に通じなくなり、アバ州の関係者と連絡が取れなくなってしまった。

このままでは前に進まない。再度現地に行って話し合おうと、時間をやりくりして、4月中旬から5月にかけて中国を訪問した。

成都に着いてからは、電話が通じるようになり、すぐに教育局の方に面会を求めたが、5月12日の大地震発生一周年を目前に控え、その式典の準備や要人の接待で、アバ州政府、教育局共に忙しく、当初今すぐ時間を割くことが難しいと言われた。

そのうえ、道路も式典開催日までにある程度修復しなければならないという理由で、工事のための封鎖や通行規制が頻繁に行なわれ、私達自身も州都バルカンまで行くことができなかった。

そんな情況の中、5月に入り、ようやくアバ州教育局の郝局長が成都まで出てきてくれた。

中国政府の鶴の一声ではじまった“一対一支援”(汶川県は広東省、理県は湖南省、茂県は山西省が支援)が軌道に乗り始め、教育に関する復興事業は、現地の負担が25%、その他は国やパートナーの省が負担することになった。理県のすべての学校の再建費用も湖南省がすべて負担することになり、私達が支援を考えていた朴头小学校もそのなかに含まれていることがわかった。国や他の省が支援できるのであれば、それなりにりっぱな校舎ができるので、それに越したことはない。私達も素直に喜んだ。

聞くところによると、中国政府は被災したすべての学校を今年中に再建し、来年9月の新学期にはすべての児童が通えるようにと地元政府、建設関係者に発破をかけているらしい。

では、私達にもできる現地の人が本当に必要としている支援とは何なのか?

郝局長曰く、被災した人々の生活は以前にも増して厳しく、子供の教育費がかなり負担になっているとのことだった。そういった庶民の人々の支援をしてほしいと切り出して来た。

アバ州は現在「9加3」(小学校、中学校+職業学校)の教育政策を推進していて、中学校から職業学校への進学者数は四川省内で毎年3千万人。小学校、中学校、内地の職業学校への進学者は3包(衣食住)すべて国が負担し、無償らしい。
※これに関しては、ヤンジンの弟からそんなことはないと異論が出たが・・

けれども、大学生になれば、学費をはじめ生活費、教材費などたくさんの費用がかかり、想像以上に家計を圧迫するのだそうだ。

実は、地震が起こる前からでも、教育環境が限られたこの地域から大学生が出るということは大変なことだった。家族も学校もその子の教育にそれなりに心血を注ぎ、その子自身もかなり優秀でなければ大学には入れないのだ。そうやって苦労して入った大学を地震のせいで中退するようなことになれば、それはあまりにもかわいそうだし、もったいない。そう考えると、被災地復興に貢献する人材を育てる意味でも大学生を支援することは大切だと思った。

建物(学校建設)の支援は先方を信頼してやらなければならないが、奨学金支援であれば、毎年座談会を開いて、学生達と会うようにすれば、実際に奨学金が届いているかどうか確認することもでき、学生の生の声を聞けば、支援が生きていることも実感できる。また、学生の家族の負担も軽減することもできるので、庶民の側からにしても喜んでもらえると思った。奨学金のノウハウはチベットでも経験し、よくわかっているつもりだ。よくよく考えた末、被災地の大学生の奨学金支援をすることに決めた。

今現在アバ州教育局、アバ州教育基金会と契約書の内容について摺り合わせているところだ。

基本的には、今年の9月から開始、対象は地震被災地の大学2~4年生20~30名(新入生は成績がないので、2年生からとした)、支援額は年間一人につき、2000~3000元(1人民元は日本円にして約15円)。学費は各大学異なるので、生活支援として支給。
以上で、現在考えている。

ちなみに、郝局長は漢族だが、チベット人の多いミヤロ出身で、チベット仏教にも敬意を表し、尊重している。汶川県威州中学(高校)の校長時代には、自分の学校をアバ州で一番の学校にした。ご自身は海外に行ったことがないので、是非アバ州の子供を連れて日本の学校、授業の様子を視察し、国際交流もしたいと言っていた。

09年5月アバ州教育局 郝(ハオ)士昌局長との話し合い_c0162425_1974999.jpg

写真左から郝局長、ヤンジン、アバ州教育局の方々
by yangjin2 | 2009-07-14 19:09 | 四川大地震